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高碕さんからいただいた誕生日サンバダ小説です!


また一つ年を重ねた。
毎年この日は家族と共に祝うのが決まりだったが、今年はあいにく
寮のため付き添いで入学したサンダユウと二人で祝うことになった。

「バダップ、おめでとう」
「ありがとう」
「今年は豪華な食事はないけれど寮で作れる限りで作ってみたんだ、口に合うといいけど」

テーブルの上にはサンダユウが作った料理が並べられている。
どれもこの寮の限られた物で作られたとは思えない匠な物ばかりだ。

「心配せずとも君の料理はいつでも美味しい。君が作ってくれるものなら何でも食べれる」

ありのままの事実を言っただけなのだが、目の前のサンダユウは
頬を赤らめそんなに褒めるなと謙遜している。
特に主である俺に対してのそれは著しく、せめて親許を離れた学園内では
一人の級友として扱うようにと言っているのだが
長年染み込んだ従者の体質はそう簡単に改善されないらしい。

「せっかく君が腕を奮ってくれたものだ、冷めないうちにいただくとしよう」
「あぁ、たんと召し上がれ」

料理を一口一口噛みしめながら食べる、彼の愛情が籠った料理は昔から美味しかった。
どこか優しい味がして、他の腕の立つ料理人や名のあるレストランの料理よりも俺はこの味が好きだ。
こうしてまた口に出すと彼は照れを通りこして困りだすので控えるようにしている。
味わうことに夢中になってしまい喋る行為を忘れてしまった。
はっと気づき顔をあげると、サンダユウが目を細めてこちらを見つめていた。
まるで親が子を愛しむような目で見てくるものだからさすがに気恥ずかしくなってしまうではないか。

「…サンダユウ、あまり見るな。食べれなくなる」
「あ、悪い、かわいいもんだからつい…いや変な意味はないぞ」
「君はその単語を俺に使うのがよほど気に入ってるようだな。
男に向かってかわいい等と言うのはどうかと思うぞ」
「でもなぁ、かわいいものはかわいいし…バダップは、かわいいと思うよ」

うん、かわいい。と頷きながら呟く。
そう真剣な眼差しで言われたら何も返せないじゃないか…。

「君も早く食べろ、俺だけ食べているのは寂しい」
「そうだな、一緒に食べないと意味ないよな」

いただきます、と手を合わせて料理に口を付ける。
思えば家ではこうして共に食事をすることもなかった。
主と従者は同じ食卓には付かず、主が食べ終わるのを見届けてから従者は食に
付いていたためこの学園に入るまでは彼の食べるところを見るのは初めてだった。
彼は器用な手つきできれいに食事をする。
普段の真面目で几帳面な所が食事にも出るのだろう、そんな姿も様になるからずるいと思う。

「それにしても今年は俺だけで申し訳ないな」
「なにがだ」
「いや、めでたい日なのに俺なんかがそばにいていいのかと思ってな」
「…そういう日だからこそ君にそばにいて欲しいんだ」
「バダップ…」

むしろこの状況を俺は好都合だとすら思っている。
サンダユウと二人きりになれて、対等な存在になれて嬉しいのだ。

「君は俺とこうしているのは嫌か?」
「そ、そんなことあるわけないだろ!ただ、身に余りすぎてどうしていいのか分からないんだ…」

サンダユウは手で顔を覆いその表情はよく見えないが耳が赤く染まるのを見逃さなかった。

「そこまで君が俺を慕っているとは思わなかった」
「…慕うっていうか、そんなの当たり前じゃないですか」

はーっとため息をついたと思ったら姿勢を正してこちらをまっすぐに見据えてきた。

「俺はずっと、初めて会ったときからあなたのことが好きなんですから」

一瞬頭の中が白くなった。
いままでなにかと予想外なことはあったもののこんなにも予想外なことは初めてだ。

「なんでそんなに驚かれるのか分からないけど、
俺はお前が思ってるよりはバダップのことが好きなんだよ」
「…」
「俺は、お前のことをとても尊敬してるし敬っている。なによりその…一人の人間として好きなんだ」
「…俺は、君に好いてもらえるような人間じゃないぞ。ましてや能力ではなく人間性なら尚のことだ。
俺は同年代の者たちから比べたら共にいて楽しめるような相手ではない」
「バダップはバカなのか?」

カチン

「さすがにバカなどとそこまで言われる筋合いはないのだが」
「だってそうだろ、なんでお前は俺の時にだけ自分を下げるんだよ。
他のことではこれでもかってくらい自信満々なくせに」

ムカムカ

頭に血が昇る。しかし頭に血が昇り感情的になり冷静な判断が
出来ていないということは彼の言う言葉が正しいからなのだ。
人は正しいことを言われると腹が立つものだとどこかで聞いたが本当のだったのだな。
エスカバとミストレの気持ちが今なら分かる。
自分で理解している性分を正論で突き出されるとこうもイライラするものなのだな。よく分かった。

「君だって俺に対しては遠慮が大きいじゃないか」
「それは俺が従者だから」
「そんなのは忘れろ、今は俺の級友だ」
「お前、無茶なことを簡単に言う癖あるよな…」
「うるさい、君は何かと重箱の隅を突くのが好きだな」
「あぁそうだよ好きだよ、認めるから俺に好かれてるのも認めろよ」
「そういうのを屁理屈というのを知らないのか君はあとさりげなく告白を混ぜるのをやめろ」
「好きだ好きだ大好きだ」
「やめろ…」
「俺はバダップが好きだ」
「やめろと言ってるだろ…!」

あまりに恥ずかしくて顔を背ける。なぜこの男はこうも平気で言えるのだ。
聞いてる身にもなれ。

「なぁ、バダップは、俺のことどう思ってるんだ」
「…」

答えは一つだけなのにそれを口に出すのがためらわれる。
ただこれだけのことがこんなにも口を重たくするとは、よく言えたものだなサンダユウ。
普段意識しなければどうとでも言えていたはずなのに、
彼の気持ちを聞いて、自分の気持ちを理解したとたんこれだ。
俺もやはり人の子なのだな。人よりは冷静なつもりだったが、
今では手に汗が滲み、頬に血液がたまって熱くなっていくのが分かる。
拳を握りしめ、深く呼吸をして気を落ち着かせる。
一息ついたところで顔を戻し、意中の相手を視界に据える。

「俺も、君が好きだ」

しっかりと言ったつもりなのに喉からは空気ばかりが出て小さな音しか鳴らさなかった。
こんなにも情けないと自分を責めるのも初めてだ。

「…本当に?」
「嘘などつかない、これが、君に対する俺の正直な気持ちだ」

恐る恐る確かめるように問う彼に諭すように答える。
その言葉を飲み込み理解した彼はまた手を顔で覆い耳を赤くした。
そんな様子がなんだか微笑ましく、照れている彼の顔が見たくて
テーブルを乗り越え隠している手を剥がそうとする。

「ちょ、お前なにするんだよ!」
「隠すな見せろ、好意のある人間に告白された人間の顔が見てみたい」
「人をモルモットみたいに言うな…!!」

無理やり剥がした手の下の額に口づける。
あまりのことだったようでサンダユウは一瞬固まり十分赤い顔をより一層赤くした。

「…君はかわいいな」
「〜!うるさい」

仕返しとばかりに頬に唇を当てられる。
当たったそれは薄いが熱く、一点から伝わってくる熱が
一気に全身へと駆け巡り心地よい気分にさせる。
頬から額、鼻、瞼、転々とされる口づけがくすぐったくて堪らない。
しかしそれだけでは足らない、もっとほしい。もっともっと。

「ここには、してくれないのか?」

口角をあげて唇へと誘う。
繋がった心が大胆にさせる、もっともっと君がほしい。

「…なんか、早い気がするが」
「そんなのは関係ない、いま君が欲しいんだ」
「…」

ぐずるサンダユウに口を出して催促する。
意を決した彼の顔が少しずつ近づいて鼻息がかかるまでに来た。

「好きだ、バダップ」
「俺もだ、サンダユウ」

唇が柔らかく重なると今までにない高揚感が全身を襲った。
なんとも言えない幸せが胸を占め苦しく息も出来ないくらい苦しくなる。
人は幸せが過ぎると苦しくなる、覚えておこう。

「ふふ、最高の誕生日プレゼントだな」
「まぁ結果的にはな」

笑いながら細い体に腕を回して強く抱きしめる。
抱きしめ返ってきた大きい腕の中は暖かくてとろけそうだった。
あまりにも大きな幸せでこわくなると言ったらまたバカだと返されるので黙っていることにした。

来年も再来年もずっと君と年を重ねていけますように。


盗撮気分で赤面〜!!! 文字力は本当に偉大ですね…!
体温から何まで事細やかに情景が浮かぶ妄想力にかかると
隙なきパーフェクト・サンバダに進化するっていう!
自分の絵で害されない素敵な世界!本当に感謝です!